そして舞台は千駄ヶ谷、実はおれもこの時点ではチケットを持っていない身であった。しかし、スタジアムに行けばきっペーが俺の分のチケットを持ってるはずである。昨夜までは俺だけチケットがない状況だったが、今回も先動隊として前日から国立に乗り込んでいるきっぺーが、俺の分のチケットをだふれた(ダフ屋行為は違法なのでやめよう)とのTELが入ったのだ。しかも、だふってもらった相手は、な、な、なんと韓国人だというのだから驚きである。千駄ヶ谷の駅のホームに立った時、今日の試合がどれだけ重要なものかを再認識することとなる。なんと駅のホームにまでチケット売って下さいのダンボール紙を持った奴等があふれているのだ。そして改札のほうにでて2度びっくり!なんと、駅の構内に入れないダフ屋達と駅の構内でチケットを売ってもらおうって奴等の仁義亡き戦いが繰り返されていたのだ!ダフ屋が駅の構内ではだふれないというのはこのとき初めて知った。ここ千駄ヶ谷では試合が始まる前から戦闘モードに入っていた。
そんな奴等を尻目にスタジアムに足を進める。おれがスタジアムに着いたときはすでに千駄ヶ谷門は開門されており、きっぺーはスタジアムの中にはいっていた。仕方がないので近くの電話ボックスできっぺーと連絡をとり、千駄ヶ谷門のところで待ち合わせをすることにした。スタジアムの周りをてくてく歩いていると後ろから声をかける奴がいる。きっペーかと思いきやそれは見知らぬ奴だった。聞くところによるとチケットいりませんかということらしい。しかもただで!彼等が言うには、ダフ屋に売るくらいなら本当に日本を応援してくれる人に渡して応援してほしいということらしい。うっうっうっ。おれは今モーレツに感動している。ありがとう、君の気持ちを決して無駄にはしない。しかし、ただってのはあんまりだから千円あげるよ。
親切な少年のおかげで、幸運にも韓国戦のチケットをゲットしたおれは、まずきっペーと合流するために千駄ヶ谷門へ。千駄ヶ谷門で待っていたきっぺーは、なぜがスタジアムの中にいるおれに少しびっくりした様子だが事情を説明すると納得し、俺の分のチケットをだふろうということになった。しかし、韓国人の身にもかかわらず日本人にチケットを売ってくれたチェヨンス(仮名)、そして少年達の気持ちを無駄にしないためにも、利益は考えず購入した1万円で道行く人に売ってあげた。
よし、ペインティングだ。赤白青というペインティンググッズを前にしてはもう三色旗しかないだろう。という結論に達するのにそれほど時間はかからなかった。急いでトイレに行きペインティングをはじめた。前回のオマーン戦のときは俺達だけだったペインティング姿も今回は結構ちらほら。しかしペインティングでは俺達に一日の長がある。そのほとんどのやつらは前回俺達がやった日の丸ペイントだ。ぷっ。笑ってしまう。常に一歩先をいく俺達が選んだのは三色旗。やっぱまだだれもやってないし、こっちのほうがかっこいい(気がする。)ちょっと鼻高々で俺達はスタンドに向かった。しかし、俺達の気付かないところで、すでに事件は起きていた。
試合はというと、俺達は応援しまくった。テレビカメラを意識しつつ。そして山口が点を入れた時、スタジアムは興奮のるつぼとかした。俺は前にいた汚いオヤジと抱き合って喜んでいた。そして、『ロペスだ!ロペスー!』とロペスが点をいれたのと勘違いしていたのを覚えている。しかし、今考えるとあの汚いオヤジは誰だったのだろう。
まーそんなことはこの際どうでも良い。事件はもっと深刻だった俺達が喜べば喜ぶほど、はしゃげばはしゃぐほどその事件を知ってる奴にとっては面白かったろう。チクショー。何が事件か、事件とは何か、まだ解らない方、そうそこのあなた!下の写真をよーく見てほしい。何かおかしくないか?フランス国旗って...
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